「月下美人」の開花とミニ知識

本サイトの代表花「月下美人」の開花状況と花言葉などミニ知識を掲載しています。





孔雀サボテンとの違い

 月下美人は孔雀サボテンと同じ仲間で南米が原産地です。両者は花や葉の外観が似ていて、特に白色の孔雀サボテンとは写真で見ただけでは違いがわかりにくいです(「花の館」サボテンの花のページ参照)。孔雀サボテンと同様、挿し木(芽)で簡単に増やすことが出来ます。
しかし、孔雀サボテンは昼間咲き、2日ほど咲いているのに対して、月下美人は夕方に咲いて翌朝には萎んでしまいます。花の咲いている時間が非常に短いのが大きな違いです。

横 顔

おしべとめしべ


花芽

 花芽はその年に新しく出た葉ではなく、古い葉にできます。黄色くなったり、一部しわが寄ったりしている葉から淡い茶色の花芽がぽつんと出て来ます。



我が家での観察記録

 我が家の月下美人は、お隣の家からいただいたものです。3年ほど経った平成15年に初めて花芽(つぼみ)を付けました。だんだん大きくなり、咲くのを楽しみにしていましたが、なぜか途中で成長が止まって、咲かずに終わりました。
 平成16年になって、6月に花芽がいくつか出てきました。そのうちの1つがどんどん大きくなり、ついに6月22日の夜見事に咲きました。これが我が家での最初の開花です。ただ、このときはあいにく夜遅く帰宅したため、開ききったものしか見ることができませんでした。
 次は咲き始めから見たい。そんな期待に応えるかのように、7月になって花芽がいくつかつきましたが、途中ですべて落ちてしまいました。また来年かなと思っていたところ、9月になって花芽が1つ出て来ました。1つしかないことと、昨年の9月はだめだったことから、正直あまり期待していませんでした。しかし、その後花芽はどんどん成長し、ついに9月11日(土)の夕方、大きく膨らんだつぼみが開き始めました。室内に入れてゆっくり観察することにしました。開き始めの頃は、花に鼻を近づけてもかすかな匂いしか感じませんでしたが、その後花が開いていくに従い匂いはじめ、1時間後の7時過ぎには芳香が部屋中に漂っていました。
 このあと、夜中の1時過ぎまで咲いていましたが、朝見てみると花は閉じるというよりは、まさに力尽きてしおれたという感じになっていました。まさに美人薄命という表現がぴったりでした。以下にこのときの写真をいくつか示します。


午後4時半
いよいよ開花間近です

午後7時半
開き始めました

午後7時50分
芳香が漂っています

午後8時半
ほぼ開き切りました

午後11時半
まだ元気です

翌朝午前5時半
萎んでしまいました


ミニ知識

 以下はインターネットを調べて得た知識をまとめたものです。
 参考にさせていただいたページのURLを表示していますので、もっと詳しいことを知りたい方はURLをブラウザのアドレス欄にコピーして訪問してみてください。

○実はなるのか?
 実際に花を見た人なら、たいていの方が持つ疑問ですね。あのなんともいえない芳香は、媒介してくれる昆虫などを誘っているとしか考えられません。上の写真でわかるように実際に花粉も大量にあり、雌しべもしっかりしたのがついていますので、受粉すれば実ができるはずです。実際に原産地などでは実はできるそうです。
 しかし、残念ながら日本にある月下美人の場合はほとんど実ができないそうです。「なぜ実ができないか」という質問(子供電話相談室)に対して、そもそも南米産の植物であり、あちらには夜活動する昆虫がいて、花粉を媒介できるが、日本ではその虫がいないから実ができないという答えが書かれていました(→http://www.tbs.co.jp/kodomotel/plant/0012.html)。なるほど、それなら人工的に授粉してやればいいではないか。
 ところが、残念ながら月下美人は自家受粉はできないとのこと、すなわち同じ株の花粉を雌しべにつけても実ができない(これを自家不和合というそうです)とのことです。では別の株ならいいのか。しかし、これもだめのようです。なぜなら日本や東南アジアの月下美人はほとんどが同じ遺伝子をもっている、つまり、一本の株から挿木で増やされて広がってきたので遺伝的に全く同じ(この場合も自家不和合が働きます)だそうです。なんでも、財団法人進化生物学研究所(東京)の湯浅浩史主任研究員(細胞遺伝学・育種学)の研究によれば、日本の月下美人は、原産国メキシコから16〜7世紀にフィリピンに伝えられ、そこから東南アジアや台湾に伝わり、大正か昭和のはじめに日本に入ったとのことです。この間ずっと挿し木によって増やされてきたというのだから驚きです(1996.07.02 朝日新聞朝刊)(→http://www.interq.or.jp/ox/amv/e21ge.html)
 これが本当だとすれば、たとえ日本に媒介する昆虫がいたとしても、あるいは人工授粉したとしても実はできないわけで、先ほどの子供電話相談室の回答は子供相手とは言え、不充分な説明のように思います。
 日本で実をならせるには、別の遺伝子を持った株を輸入すればいいということになります。昔ならいざ知らず、交通の発達した現在では容易なことです。実際に、日本でもフルーツ月下美人という別の種類があり、これと交配させると普通の株にも実ができるとのことです。オンラインショップなどを探せば苗が販売されていると思いますので、興味のある方は購入されてはいかがでしょうか。

○どんな実なの?
 さて、上述のように月下美人にも実ができるということがわかりました。では、どんな実なのでしょうか。その前にどのようにして受粉するのでしょうか。花の咲くのが夜の数時間だけということから媒介者は限られます。  上述のように夜間活動する特別の昆虫がいるのでしょう。あるいは、こうもりが媒介するという説もあります。また、翌朝完全に萎れる前にミツバチが訪れているのを見つけたことから、このときに受粉しているのではないかという説もあります(→http://chigusa.imaokas.com/index.php?randomdetails=363)。
 自家受粉ではだめということと、花の寿命の短さを考えれば、子孫を残すためにはたくさんの株が同じ時間帯に咲く必要があります。実際にハワイでは1週間に一度、一斉に咲くそうです(→http://chigusa.imaokas.com/index.php?randomdetails=363)。壮観かつすごい匂いでしょうね。
 さて、できる実はというと、花の色とうらはらに赤いそうです。そして、なんと実は食べることができるそうです。ハワイではドラゴンフルーツと呼ばれているとのことです。味は、甘味と酸味のバランスのよいおいしさだそうです。ちなみに花びらも食べられるとのこと( →http://chigusa.imaokas.com/index.php?randomdetails=363)。
 月下美人もこうなると神秘性が薄れるような気がするのは私だけでしょうか。やはり、実なんかならない方がいいのかもしれません。

○花言葉、誕生花
 花言葉は、はかない美、はかない恋、繊細、快楽だそうです。やはり、花の寿命が短いことに由来しているようです。
 8月23日の誕生花となっています。



  

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