炭素循環のお話

空気中の炭酸ガス濃度
炭酸ガスの役割
炭酸ガスはなぜ増えた?
空気中の炭酸ガス濃度
ある暑い日の夜、家族6人で夕食を食べているとき、ピッ、ピッ、という音が聞こえてきたところから、お話しがはじまります。
ねえ。何か、ピッ、ピッ、という音がしてるよ。
あらっ、CO2濃度測定器の警報ね。
そうだね。エアコンをつけて部屋を閉め切っているから、CO2濃度が設定値の1,000ppmを上回ったようだね。
少し窓を開けて、換気しましょう。
そうだね。
CO2濃度測定器ってなーに?
CO2というのは炭酸ガスのことだということは知っているよね。二酸化炭素とも言うんだ。
それは知っているよ。理科の授業で、もう習ったから。
あれは、室内の空気中の炭酸ガスの濃度を測定する装置なんだ。実は、今拡大している新型コロナウィルスの感染予防のために買ったんだ。
そうなんだ。でも、コロナの感染予防は、手洗い、うがい、それに3密を避けることでしょう? 炭酸ガスと関係ないんじゃない?
直接は関係ないんだけど、実は最近部屋の換気を良くすることがコロナ対策に重要だということがわかってきたんだ。
換気?
空気の入れ替えだよ。
人がしゃべるとどうしても唾がしぶきとなって空中に飛ぶ。比較的大きなしぶきは、すぐに下に落ちてしまうが、エアロゾルといわれる非常に細かくて目に見えないしぶきがあって、これは長時間空気中に漂っているんだ。締め切った部屋に感染者がいると、その人の吐き出すエアロゾルの中に新型コロナウィルスが存在していて、それをたくさん吸い込んでしまうと体の中にウィルスが大量に入ってしまう。だから、換気をして、できるだけ早くエアロゾルを部屋から追い出すことが感染予防につながるんだ。
そうなんだ。でも、換気と炭酸ガスの濃度測定がどう関係するの?
換気というのは、普通部屋の空気が汚れてきたときにするよね。でも、空気が汚れているかどうかを知るにはどうしたらいい?
うーん。
空気中の成分を分析すればいい、そうか、その成分が炭酸ガスってことだね。
その通り。比較的簡単に測定できる炭酸ガスの濃度を知ることが換気の目安になるんだ。
これで、光もようやくお父さんがコロナ対策でCO2濃度計を買った理由がわかったね。
うん。
ところで、父さん、どうしてあんな小さな装置で炭酸ガスの濃度がわかるの?
原理は簡単にいうと、炭酸ガスというのは赤外線という目に見えない光を吸収する性質があるんだ。部屋の空気を装置に取り込んで、それに赤外線を当てると、その濃度に応じて吸収される赤外線の量が変化するので、残った赤外線の量から炭酸ガスの量を計算して数値化しているんだ。ちょっと難しいかな?
炭酸ガスが増えるのは、僕たちが呼吸をしているからだよね。
そのとおりだ。人が増えると、当然濃度は上がるね。
昼間私1人の時は、警報は一度もならなかったわ。父さんやあんたたちが帰ってきて、人が増えたために炭酸ガスが増えたのね。
1人くらいなら、締め切って冷房を入れていても、隙間や換気口から空気が出入りしてそれほど濃度が上がらないけど、人が増えると、呼吸で吐き出すCO2が増えて、窓を開けたり、換気扇をつけて強制排気しないとあがっちゃうんだ。ほら、窓を開けたら数値が下がってきたよ。
ほんとだ。
テレビでも言っているように、新型コロナにかからないようにするには、手洗い、うがいだけでなく部屋の換気も大切ということだ。
わかった。そういえば、教室でもときどき窓を開けているけど、CO2濃度測定器っておいているのかな。明日行ったら先生に聞いてみよう。
ところで、ppmってなに?
それは僕が答えよう。光は、%は知っているよね。
もちろん知ってるよ。母さんがいつも言ってる。
???。なんのこと?
このスーパー、今日は10%引きだって。100円のものが90円で買えるって。
まあ、この子ったら。
そう、1%は100分の1のこと。つまり、100円の10%は10円だね。それに対して、1ppmは百万分の1ということだよ。英語のparts per million(パーツパーミリオン)の略だよ。millionは百万だから・・・・
なるほど。つまり100万円あったとして、その1ppmは1円と言うことね。
これを%に直すとどうなる?
えーっと。1÷百万は、0.000001だから、これに100を掛けて0.0001%ね。
よくできました。で、炭酸ガスに戻すと、ふつう空気は窒素約80%、酸素約20%から成り立っていると言われているけど、これら以外にアルゴンという気体や炭酸ガスなどが含まれている。その炭酸ガスの含まれている量の割合が約400ppm。%に直すと、約0.04%となる。たとえば、空気が1リットルあったとすると、その中には窒素が約800ml、酸素が約200ml、炭酸ガスが約0.04ml含まれているということだよ。
そんなに少ないんだ。
ちょっと待って。今、実は大気中のCO2は400ppmって言ったよね。
学校ではそう習ったよ。
私は、300ppmって習ったと記憶しているわ。
そうなの? 変だな?。
二人とも間違ってないよ。お母さんが子供の頃はたしかに300ppm前後だった。
わしもそう習って覚えているよ。
わたしも。
そう、昔はそうだった。でも今は400ppmを超えているんだ。ほらっ、実際に窓を開け放っても、CO2濃度計の数値は、400ppm以下にならないだろう?
ほんとじゃ。
よかった。間違ってなくて。
でも、どうして違うの?
そこが今我々が直面している問題なんだ。
どういうこと?
もしかして、温暖化?
そう地球の温暖化だ。これについては、また今度詳しく話そう。
それは楽しみね。
温暖化の話はあとにして、炭酸ガスについてもう少し詳しく話すことにしよう。
でも、今日はこれぐらいにして、続きは明日だね。
あっ、明日は僕部活で遅くなる。
そうか、高校の化学で炭酸ガスのことは勉強するだろうから、いなくてもいいよ。
じゃー、あとかたずけして、お風呂に入りましょう。おとうさん、洗い物手伝ってくれる?
いいよ。
それじゃ、わしたちは寝ることにしよう。
そうですね。おやすみなさい。