石油はどのようにして見つけ、取り出すのか?
石油はどのようにして見つけるのでしょうか。
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おはよう、おじいちゃん。
今日は、あいにくの天気だね。
絶好の講義日和かな。さて、今日は石油をどのようにして見つけるかだね。
うん。
それじゃ、話の前にこれまでの復習をしよう。実、できるかな?
石油は海の底の地層深くでできて、その後岩石の隙間の水の中を地上の方へ移動していくんだね。
そして、山型の背斜構造に水や油を通さない地層に到着すると、そこに溜まる。
その留まった石油をどのようにして見つけるか。
背斜構造を見つければいいんじゃない。
そのとおりだ。まずその背斜構造を見つけなくてはならないんだけど、地中というのは、宇宙を調べるより難しいんだ。
そうだね。ロケットを飛ばせないしね。
たしか昔、地中を移動できる船で地中に潜り込んで探検するという映画があったような気がするが、そんなのは実際にはないしね。
さてっと、これからの話には、専門用語がいくつか出てくるけど、我慢して聞いておくれ。
わかった。
まずは、探鉱という言葉だね。
たんこう? 月が出た出たの、あのたんこう?
あははは。それは、炭坑。こっちのたんこうはそうじゃない。石油を探すの探鉱だ。要するに、石油の鉱脈を探すことだ。
そうか。
探鉱には、いろいろな方法があるんだけど、ごくごく簡単に説明しよう。まずは、地表からありそうなところに目星をつけなくてはならない。
そのために地表地質調査? 地面を調べるってこと?
そう、現地に行って、直接地表の様子や、露出している地層の様子を調べたり、岩石などのサンプルを採取したりするんだ。
ふーん。
わしも調査をしたことがあるけど、山奥の水たまりに油のようなものが浮いているのを見つけることもある。
へーえ。
これを油徴(ゆちょう)というんだ。油のきざし、つまり石油の痕跡だ。これがあると、その下の地層に石油があったという証拠になる。
そうなの?
ほら、昨日、石油は地表に向かって移動するという話をしたろう?
うん。あっ、わかった、途中に移動の妨げになる地層がなかったため、地表まで移動してきたんだ。
その通り。
なるほど。
つまり、今でも石油があるかどうかはわからないけど、少なくとも石油が作られた地層があるということだね。
このほかに、人工衛星を使ったり、重力の異常を調べたりする方法もあるけど、省略しよう。
わかった。このあとはどうするの?
これらの調査で、ある程度地下の地層を推測し、背斜構造があるんじゃないかという場合は、物理探査というのをやる。
物理探査?
そう、物理的な方法で地下の構造を知らべるんだ。
へーえ。
その1つが地震探鉱といわれるものだ。
地震を利用するの?
地震と言っても、東日本大震災や能登地震のような実際の地震じゃないよ。
そうなの?
実際の地震は、プレートがずれたりして起きた変化が、波のように地中を伝わってくることで感じるんだ。この波を地震波という。縦波とか横波とか、あるいはP波、S波なんて聞いたことはないか。
縦揺れとか横揺れなら聞いたことはあるけど。
それを起こしているのが、縦波、横波なんだ。
そうなのか。
その地震波を利用するのが地震探鉱なんだけど、大きなトラックが、家の前の道を通った時、振動を感じることがあるだろう。
ある、ある。
それだよ。その振動を利用するんだ。
そうか、地震探鉱って名称が大げさだね。
そうだね。わしは気にならなかったけどね。
どうやって、振動を起こすの。
地中でダイナマイトを爆発させたり、地面を機械で叩くことで地震波を人工的に作り出すんだ。
地面を叩く?
そのための専用の車があるんだ。道路を移動しながら地面を叩くと、さっき言ったように、振動が波になって地中を伝わっていくんだけど、地層で跳ね返ってくる信号を受信機でとらえるんだ。その様子を図にするとこうなる。
なるほど
。
地層によって地震波の伝わり方が違うので、それを解析すると地層が見える化されるんだ。背斜構造があれば、すぐにわかるということだ。
海にも石油があるんだよね。海の調査はどうするの?
海底に潜ってやるの?
海底を自由に動けるロボットでもあれば、できるだろうけど、そんなものないからね。
そうだね。だから、海では地震波が使えないんだ。
じゃあ、どうするの?
海上では、海中に圧縮空気を噴射することで音波を発生させるんだ。
へーえ。
この装置をエアガンというんだけど、これを船に積んで、海中に圧縮空気を噴出して移動するんだ。
すると、地震波と同じように、海底やその下の地層から反射波が跳ね返ってくるので、これをとらえて解析することで地下構造を知るんだ。
そうなんだ。
さて、これで地下の構造を知ることができた。その結果、背斜構造があるらしいとわかると、今度は実際に掘削機を使って井戸を掘るんだ。この時点では、下に石油があるかどうかはわからないが、試しに掘ってみようということで試掘(しくつ)というんだ。
どれくらいまで掘るの?
地下数千mまで掘るんだ。
へえー。ずいぶん深いんだね。
ふーん。結構時間がかかりそうだね。
順調に掘れればいいけど、硬い地層があったり、逆に柔らかい地層があったりすると、トラブルが発生してさらに時間がかかる。
地下は何があるかわからないからね。
ところで、さっきの図でなにか気が付かなかったかい?
わからない。
実は?
うーん、何だろう? もしかして、掘った時の土や岩石はどうしてるの?
ピンポーン、その通り。地面を掘っているんだから、土を取り除く必要がある、そうでないと穴にならない。
そうか。
掘りくずを地上に取り出すため、実際には図のように掘削の先端から水を噴出して、地上に取り出しているんだ。
どろみずって、なーに?
これはね、でいすいって読むんだ。
なんでこんなものを使うの?
さて、ここで、久しぶりに問題を出そうかな。大気圧と釣り合う水の重さはどれくらいかな?
えっと、大気圧は1気圧だから1㎝2につき1,033kgfだね。
そう、そのとおり。水柱にすると約10mだね。もし、比重の高い液体だったらどうなる?<
もっと、低くて済む。水銀だったら760㎜だよね。
そう、地下の圧力は地表より高いから、水より重い液体を使う必要がある。そこで、水に比重の重いものを混ぜて循環させているんだ。それに掘った土が混ざるから、見るからに泥水というわけだ。
なるほど。
さて、こうして実際に井戸を掘って、運よく石油があると泥水の中に油が混じってきたり、時には噴出してくることがある。
試掘成功だね。
うん。でも、石油があることは分かっても、それがどれくらいの量かは、試掘だけではわからない。
そうか。
そこで、それを調べるために、その周囲にまた井戸を掘って、石油が存在する範囲を調べるんだ。その結果、これまでの費用とこれから予想される費用を回収できて、さらに利益が出そうだとなると、いよいよ石油を本格的に取り出すことになる。
いよいよ生産開始だね。
まだまだ。さらに井戸を何本か掘るとともに、それを貯めるためのタンクを作ったり、水も一緒に出てくるからそれを分離したりする装置が必要になる。
そうか。
このようにして取り出された石油は、原油と呼ばれる。一般に、図に示すように黒い色をしている。
これをタンク車や、タンカーあるいはパイプラインで、処理設備に運ぶ必要がある。日本はほとんどの原油を輸入しているから、産油国からタンカーで運んでくるんだ。このままでは、我々は利用できないので、加工しなくてはならない。
どこで加工するの?
日本では製油所といっているところさ。千葉や川崎などに大きな製油所がある。
ここで、原油を蒸留して、いろいろな成分に分けるんだ。蒸留ってわかるかな。
理科の実験でやったことがある。水などの液体を沸点以上に加熱して、発生した蒸気を冷やしてきれいな水にすることでしょう?
そう、原油には前に話したように、いろいろな成分が含まれている。これを釜に入れて加熱して沸点の低い順にガソリン、灯油、軽油、重油などに分けて、利用するんだ。ガソリンスタンドなどで売られているガソリンや軽油、灯油は、さらにいろいろな処理をされているが、ここでは省略しよう。
ガソリンは、乗用車などの燃料、灯油はファンヒータなど、軽油はトラックなどの燃料、重油は工場などの燃料として使われ、そして最後に残ったアスファルトも道路の舗装に使われている。もちろん、燃料だけでなく、最初に言った衣服の化学繊維、飲料水を入れるペットボトル、スマホなどのケースのプラスチックなど、我々の身近のものはほとんど石油が原料になっているんだ。
そうか、僕たちの生活になくてはならないものばっかりだね。
石油さまさまだね。
そうだね。